はやみねかおるさんという、児童文学の作家さんがいます。
 前にも、「亡霊は夜歩く」の感想とかを書いているんですが、子供向けのはずなのに、大人だって物凄く楽しめてしまう、そういう大人にも子供にも楽しい作家さん、なんですが。

 その、はやみねかおるさんが、作者名を漢字(勇嶺薫)にして新刊を出しました。
 レーベルも、いつもの青い鳥文庫じゃなくて、講談社ノベルス。
「はやみねかおるが大人向けミステリーを書いた!」が売り文句。

 それが「赤い夢の迷宮」です。

赤い夢の迷宮 というわけで、前置きが長くなりましたが、赤い夢の迷宮を読んでみました。
 冒頭、ヘリコプターで目覚める主人公のシーンから物語は始まります。なんか睡眠薬を飲まされてヘリに積まれたようですね。相手は70歳のオッサンらしいです。なんだ、どうしてだ、どういう関係だ?……と首を傾げている間に、他にも人がいることが紹介されます。みんな、ユニークなあだ名を持つ登場人物たちばかり。彼らはどうやら小さい頃の友達同士のようです。
「お化け屋敷」と彼らが呼ぶ洋館に到着した所で、物語は回想シーン……25年前の夏休み、子供の頃へと移ります。
 小さい頃に「事件」に遭遇した子供達の様子が描かれ、そして現在に至るまでが描かれたところで、時間は再び現在。
 台風が迫る洋館の中、悪天候に覆われて閉じ込められてしまう主人公達。そして、一人ずつ命を落としていく……。

 ……というストーリーなんですが、序盤の子供時代の描写が「いつもの」はやみねかおるっぽい文章だったので油断したら、終盤でがっつりやられてしまいました。
 これはなんていうか「はやみねかおる」を知っている人ほど面白い小説だと思う。知らない人には、このギャップを味わえないので、小説全体にある怖さが半減してしまうから。
 先入観無しで、ただの推理小説として読んだら、そんなにすごい作品かっていうと、もっと名作はいろいろあると思う。
 でも、そこのギャップ、落差でがっつりぶん殴られる感触が面白い作品なのね。あと、怖いは面白いってやつ。そんなに大した事は無いけど、そこそこゾッとするので、狂気っぽいのが苦手な方は避けるべし。確かに読み終わってみると、タイトルといい装丁といい、そんな感じの本だよなぁと思ったけど、読む前には思わなかったのは、やっぱり「はやみねかおる」効果なんだろうなぁ。

 私は最後の最後、終わりの2ページでカタストロフを食らったんですが、ちゃんと読む人だとどうなんだろうなぁ。いろいろ勘付きながら読むとまた違った印象になるのかもしれない。
 最後のオチというか、回答無しで終わっている部分の解釈が綺麗にできていないので、いろいろ考えながら、またぜひ読み返してみたいと、そう思う1冊なのでした。

「はやみねかおる」を何冊か読んだ上で、と前置きをつけた上で、オススメです。

赤い夢の迷宮赤い夢の迷宮
勇嶺 薫


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2007/06/10 (Sun) 12:21 | | コメントする(1) | Trackback(0)
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