
これは去年ドラマ化された「雨と夢のあとに」の原作本。このドラマが放送されたとき、とても好きだったので、読んでみようと思ったのですね。
このドラマは「てるてるあした」とスタッフがほぼ同じ。そして、私はどちらのドラマも大好き。という訳で、「ささらさや」を読もうかなと考えた私は、一緒に「雨と夢のあとに」も調達してきたのでした。
蝶を収集する為に外国へと出かけた父親を待つ、小学六年生の女の子・雨。
待ちに待った父親が帰ってきたけれど、それは実は、蝶を捕らえる為に穴の中へと落ち、そのまま命を落とした父親の幽霊だった……というストーリー。
幽霊になっても、娘の元へと帰ってきた父親と、彼が幽霊であることには気付いていない雨を軸に、隣に暮らしている女性・暁子の存在を交えながら、ストーリーは進んでいきます。
で。
結論から書くと、私はドラマ版の方が丁寧な作りで好きですね。こちらは、主人公の1人称という形態を取っている割には、雑というか。1人小説の悪い面が前面に出ているというか。これが良さなのかもしれないけれど、私にはあまり合わない感じでした。
……そういえば昔、高校の頃に柳美里さんの本を1度読んだときに、似たような感想を持った気がするなぁという記憶が、ふつふつ蘇ってみたりして……すっかり忘れていたけれど。
まぁ、ドラマは10時間以上かけてじっくりとストーリーを描いていくので、その辺りを比較するのは難しいという面もあるのかもしれませんね。
個人的にドラマで盛り上がる要素だった、雨の母親についてのストーリーが、原作では本当にちょっとだけしか無いというのが、ショックだったというのも大きいのかも。小説の方は、なんというか「どうしてこのシーンが必要だったのだろう?」と疑問に思ってしまうくらい、オマケというか余談というか、無くても全然構わなかっただろう、という要素になってしまっていたので。
他の部分も、表面的になぞるようにして、沢山のエピソードが詰め込まれている感じなので、もっと1つのエピソードを掘り下げて、じっくり描いてくれていたら……と、物足りなく思ってしまいました。
あと、直前に「ささらさや」を読んでいたのもあるのかもしれませんね。どうしても比べてしまうというか……なので、より辛口になっている部分はあるのかもしれません。
基本となるストーリー部分はとても良いので、後の問題は、作家さんとの相性なんだろうなぁ……と、しみじみ思った1冊でした。
個人的には、小説版よりは、ドラマ版の方をオススメしたいです。とても良いドラマだったので、見た事の無い方は、機会がありましたらぜひ1度見てみて下さいね。
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