ささらさや 今回の読書は、加納朋子さんの「ささらさや」。
 少し前にテレビ朝日系列で放送されていた、金曜ナイトドラマ「てるてるあした」の原作になった2つの小説のうちの1つです。
 ドラマがとても面白かったので、1度読んでみたいと思っていたんですよね。
「てるてるあした」と、どちらを先に読むか考えたのですが、順番的には、こちらの「ささらさや」の方が古いようなので、まずはこちらから。

 作品は、ある日突然の事故のシーンから始まります。
 この事故によって、死んでしまった夫の「俺」と、彼が死んだことで未亡人として遺されてしまった女性「サヤ」、そして、まだ生まれたばかりの赤ん坊「ユウスケ」を軸にしてストーリーは進みます。
 ユウスケと二人きりになってしまったサヤ。そのサヤからユウスケを取り上げようとする夫の親族……という訳で、彼女はユウスケを守るため、彼らから逃げるようにして、「佐々良」という街へ引っ越します。
 そして、ユウスケを抱えながら右往左往するサヤの様子を放っておけない「俺」が、サヤが危機に陥るたびに、ある人ある人の姿を借りて、彼女を助けにやって来るのです。

 ……という、ちょっぴりファンタジーの入ったハートフル小説。
 雑誌連載されていたもので、短編シリーズ集のような形態になっています。
 基本的には近隣住民とのふれあいとか、サヤの日常生活が軸なのですが、そこに幽霊となった「俺」の存在が加わることで、ちょっぴり不思議だけれど、とっても心が温かくなる、素敵なお話になっています。
 ストーリーが素敵なのは、キャラクターが素敵だからでしょうね。
 お人よしで、要領の悪いサヤ。彼女の人柄に惹かれるように、集まって来る個性豊かなお婆さん3人組と、ママ友達のエリカ、その子どものダイヤ……。
 登場人物は、決して多くは無いのです。でも、だからなのか、こじんまりとしているけれど、でもとっても素敵なストーリーになっているのだろうなぁ、と思います。

 この本は、「俺」が死んだ所から始まって、「俺」との別れのシーンで終わるのですが、そこがまた涙を誘うのですよね。
 せつない、という言葉が、とてもしっくりと来る内容です。でも、読後感がとても良い。読み終わると、涙を誘うけれど、でもとても楽しかった・面白かったという感じで……。
 とっても素敵な1冊でした。

 こんなに素敵な本なら、もっと早く読んでおくんだった、と心の底から思ってしまいました。
 とても良い本ですので、機会があったら、是非読んでみて下さい。

ささらさやささらさや
加納 朋子


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2006/09/19 (Tue) 17:50 | | コメントする(0) | Trackback(0)
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